外科医の創造性を測る——拡散的思考はどの領域で育まれ、何が予測因子になるのか
📄 Investigating divergent thinking and creative ability in surgeons (IDEAS): a survey protocol.
✍️ Thabane, A, Busse, JW, Sonnadara, R, Bhandari, M
📅 論文公開: 2023年1月
3つのポイント
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外科領域における創造性は研究が極めて少なく、本論文はその実態を把握するための調査プロトコルを報告している。
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成人向け簡略トランス・テストを用いて外科医の拡散的思考能力のレベルと性質を測定し、予測因子を多変量回帰で分析する計画が示された。
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本論文は研究の設計と倫理承認の報告であり、結果そのものはまだ公表されていない。
論文プロフィール
- 著者: Thabane A, Busse JW, Sonnadara R, Bhandari M / 発表年: 2023年 / 掲載誌: BMJ Open
- 対象: マクマスター大学外科部門の外科医(コンビニエンス・サンプル)
- 調査内容: 外科医の 拡散的思考 拡散的思考 一つの問いから多様なアイデアを広げる思考。収束的思考(絞り込む思考)と対をなし、創造の両輪とされる。 能力のレベル・性質・予測因子を、成人向け簡略トランス・テスト(ATTA)を用いて測定する調査の設計を報告
- 証拠の強さ: 本論文は研究プロトコルの報告です。結果データはまだ公表されておらず、現時点では設計と倫理承認の記述にとどまります。因果関係や効果の大きさはこの段階では示せません。
エディターズ・ノート
「創造性は特定の職種にしか宿らない」という通念は、どこまで正しいのでしょうか。外科という高度な技術職において創造性がどのように分布し、何が予測因子となるかを問うこの研究設計は、創造の様式を自分自身に問い直す手がかりを与えてくれます。
何がわかったか
本論文は研究結果の報告ではなく、調査プロトコル(研究計画書)の公表です。そのため、「外科医の創造性がどれほど高い」といった実測値は含まれていません。
論文が示すのは以下の設計です。
研究の問い: 外科医の創造性のレベル・性質とはどのようなものか。専門領域・経歴・背景によってどう異なるか。高い創造性の予測因子は何か。
測定ツール: 成人向け簡略トランス・テスト(ATTA; Abbreviated Torrance Test for Adults)を使用する。ATTAは3部構成の検査で、 拡散的思考 拡散的思考 一つの問いから多様なアイデアを広げる思考。収束的思考(絞り込む思考)と対をなし、創造の両輪とされる。 ——ひとつの問いから多様な答えを生み出す能力——を測定する。
分析手法: 記述統計と重回帰分析により、創造性スコアの予測因子を同定する計画が立てられている。
背景として論文が指摘すること: 医療が21世紀の複雑な課題に対処するためには創造的なアイデアとそれを生む人材が不可欠であり、しかし外科領域では創造性の研究が著しく不足しているという問題意識から設計された。
🔍 研究プロトコル論文とは何か
研究プロトコル論文とは、研究を実施する前に、設計・方法・分析計画を公開する文書です。事前公開によって、結果が出てから都合よく方法を書き換えることを防ぐ透明性の確保が目的です。
この種の論文は「実験結果の報告」ではないため、発見された知見を直接引用することはできません。ただし、「なぜこの研究が必要か」という問題意識と、「どう測るか」という設計の妥当性については読むことができます。
🔍 拡散的思考とATTAについて
拡散的思考 拡散的思考 一つの問いから多様なアイデアを広げる思考。収束的思考(絞り込む思考)と対をなし、創造の両輪とされる。 とは、ひとつの刺激や問いから複数の方向に発想を広げる認知プロセスを指します。1950年代に心理学者ギルフォードが概念化し、創造性研究の中心的な測定対象となってきました。
ATTAはその測定ツールのひとつで、言語的・図形的な課題を通じて「流暢さ(多くのアイデアを生む)」「柔軟性(異なるカテゴリにまたがる)」「独自性(珍しいアイデアを生む)」などを評価します。
理論的枠組みとの接続
この研究は 拡散的思考 拡散的思考 一つの問いから多様なアイデアを広げる思考。収束的思考(絞り込む思考)と対をなし、創造の両輪とされる。 の測定を核に置いており、ギルフォードに端を発する創造性研究の系譜に位置します。外科という職域に焦点を当てることで、「創造性は特定の文化やキャリア段階によって形成されるのか」という問いに接続します。
ただし、プロトコル論文の段階では理論との実証的な接続は示されておらず、接続の確認は結果論文を待つ必要があります。
自己観測への手がかり
拡散的思考の能力が職域や専門背景によって異なるとすれば、自分の思考の広がり方はどこで育まれたのでしょうか。それを測るような機会は、日常にどれほどあるでしょうか。
何かを「解決する」ときと「発明する」ときの自分の感覚の違いを振り返ることが、その問いの入口になるかもしれません。
読後感
あなたが職業や専門領域を越えて「これは面白い解き方だ」と感じた瞬間は、いつでしたか? そのとき自分の中で何が動いていたか、少し立ち止まって思い出せますか?